ザ・クインテッセンス 2018年12月号
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歯周組織再生剤「リグロス」の臨床像同一症例に行ったGTR法との比較からみえてくるものthe Quintessence. Vol.37 No.12/2018—274038特 集 1 患者は初診時78歳,女性で主婦であった.全身疾患は高血圧症があり,服用薬はミカルディス錠40mg,アダラートCR20mg,リバロOD錠2mg,ニフェジピンCR錠20mgにトロールカプセル20mgであった.体型は普通からやや肥満傾向で,喫煙歴はなかった.口腔内所見としては全顎的には年齢相応の歯肉の高さであったが,軽度に辺縁歯肉の発赤・腫脹が認められた(図1).口腔衛生状態としては,O’Learyのプラークコントロールレコードは80%であり,とくに歯間部の清掃状態が不良であった.歯周ポケットは全顎的に深く,とくに₅₂₆,₂₁では10~12mmの歯周ポケットが認められた(図2).BOPもほとんどのポケットより認められた.歯の動揺度は半数の歯でⅠ~Ⅱ度の動揺が認められた.エックス線写真では,全体的には軽度から中等度の水平性の歯槽骨吸収が認められ,₅近心,₂近遠心,₆遠心,₁遠心に重度の垂直性の骨吸収,₁,₅には囲繞性の骨吸収が認められた(図3).The Clinical Feature of “REGROTH”:The Treatment Results Compared to Guided Tissue Regenerationキーワード:歯周組織再生剤,リグロス,GTR法,術後経過*東京医科歯科大学歯学部附属病院維持系診療科歯周病外来*1東京医科歯科大学名誉教授連絡先:〒113‐8510 東京都文京区湯島1‐5‐45秋月達也*/和泉雄一*1Tatsuya Akizuki,Yuichi Izumi 2016年9月に本邦発の歯周組織再生剤「リグロス」(科研製薬)が承認・発売され,現在国内で使用されつつある.本製剤は医療保険制度のもと使用できる製剤であるが,同じく医療保険制度のもと使用できる材料としてはGTRメンブレンがある.本稿ではこれらを同一症例においてそれぞれ別部位で用いる機会があり,術後経過を通じてそれぞれの使用法,術後の治癒について供覧したい.はじめに患者詳細

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