ザ・クインテッセンス 2018年12月号
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─非歯原性歯痛を疑う前に─診断の難しい歯原性歯痛50the Quintessence. Vol.37 No.12/2018—2752 このような,患者の訴えと検査の所見が合わない症例に遭遇したことや,痛みの原因がみつからないので非歯原性歯痛と診断した経験はないでしょうか.しかし,それらがすべて非歯原性歯痛ではなかったかもしれません. 筆者が所属している日本大学松戸歯学部付属病院では,平成28年1月〜平成29年12月の2年間で10,056名の初診患者が来院し,1,417名が診療情報提Odontogenic Toothache with Difculty in Making a Diagnosis─Consideration when You Doubt as Non-odontogenic Toothache─Takashi Uchidaキーワード:認知バイアス,二重システム理論,歯原性歯痛,非歯原性歯痛日本大学松戸歯学部歯科総合診療学講座連絡先:〒271‐8587 千葉県松戸市栄町西2‐870‐1内田貴之特 集 2はじめに:こんな経験はありませんか?症例1(図1a〜i)患者:25歳,女性.紹介理由:原因不明の痛み.主訴:下顎左側小臼歯部の痛み.現病歴:1か月前から上顎左側小臼歯部に痛みを認めていた.1週間前からは左側下顎小臼歯部に持続性の強い痛みを認め紹介元を受診したが,歯原性歯痛ではないとの診断を受け,当院を紹介され来院.医科的・歯科的既往歴:特記事項なし.診断は52ページへ

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