ザ・クインテッセンス 2018年12月号
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臨床に生かす根管解剖学CBCTと歯科用顕微鏡を駆使した“歯内療法新時代”の連載(全12回)145the Quintessence. Vol.37 No.12/2018—2847吉岡隆知東京都開業 吉岡デンタルオフィス連絡先:〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台2-3-13-1Fはじめに 下顎第二大臼歯には,単根性と複根性がある.複根性は下顎第一大臼歯に似た形態だが,根管形態はやや単純化する.下顎大臼歯近心根は決まったパターンがない1.根尖孔径もばらつきが大きく,根尖部のイスマスも珍しくない.これに対して,単根性は樋状根,樋状根管となって,複雑な根管形態を呈する場合がある.樋状根管は根管数や根管形態が変化に富み,根管治療がきわめて難しい2.モンゴロイドでの樋状根は遠心舌側根のような過剰根とともに他人種に比べて出現率が高い.デンタルエックス線写真ではこれらの形態の診断が難しい場合がある. CBCTではその形態を正確に診断できる.そのため,近年になってこれらの形態に関する報告は急増している.本稿では,第二大臼歯の形態,樋状根,および下顎大臼歯過剰根について解説する.第12回 第二大臼歯の根管形態,樋状根および下顎大臼歯過剰根1.下顎第二大臼歯の根管形態 歯根数や根管数の調査では,1歯単位と近遠心根に分けた報告がある.1-1.下顎第二大臼歯の歯根数 下顎第二大臼歯の歯根数を図1に示す.調査した国によって出現率に差があり,白人やアフリカ系が多い国では,1根が20%以下,モンゴロイドでは20~40%となっている.3根が数パーセント出現している.1-2.下顎第二大臼歯の根管数 下顎第二大臼歯1歯全体の根管数を図2に示す.CBCTでの調査だと2根管と判定されることが多いようであるが,歯を直接観察する臨床,抜去歯,透明標本だと3根管となる場合が多い.なお,樋状根のような形態で陥入のない円錐形の歯根ではすべて1根管であった. 複根性下顎第二大臼歯の歯根ごとの根管数を図3に示す.近心根は2根管,遠心根は1根管が多い.これらのデータは,透明標本での調査に基づくもの(最終回)

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