ザ・クインテッセンス 2019年2月号
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65the Quintessence. Vol.38 No.2/2019—0319 口腔粘膜疾患は形で大きく4つに分類して観察する.1)ある大きさの塊として見える腫瘤状の隆起性病変,2)腫瘤ではないが正常粘膜より丘状に隆起している扁平隆起性病変,3)隆起も陥凹もしていない平坦な病変,4)陥凹した病変.1)〜4)の形にはそれぞれ,境界の明瞭・不明瞭さ,辺縁の整・不整,表面性状の平滑・粗造・凹凸,色調などの違いがあり,疾患の鑑別に役立つ.また腫瘤性病変は,触診によって硬さ,可動性,圧痛を観察する.1形から見た疾患の鑑別1)腫瘤状の隆起性病変❶外向型の舌癌 癌は周囲に浸潤するので,腫瘤と正常組織の境界が不明瞭.腫瘍部分は細胞の数が多いので周囲組織より硬い.表面は粗造.❷義歯性線維腫 義歯床縁の物理的刺激による反応性の線維の増殖.刺激性線維腫であり義歯の辺縁にできる.線維の増殖は,境界明瞭,表面平滑,正常粘膜色. 腫瘤とは限局性の腫脹であり,ある大きさの塊として見えるものをいう.腫瘤状の隆起性病変は腫瘍,真の腫瘍ではない反応性の腫瘍類似疾患,嚢胞性病変,炎症性病変がある.病変によって腫瘤の色調,表面性状,境界の明瞭さ,硬さに特徴がある.上皮上皮の増殖表面粗造上皮以外の増殖表面平滑上皮下結合組織血管

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