ザ・クインテッセンス 2019年2月号
7/8

第2回これから求められる歯科衛生士との接し方働きたい・働き続けたい歯科医院働きたい・働き続けたい歯科医院̶歯科衛生士だから言えること̶連載(全12回)濵田智恵子株式会社TomorrowLink代表取締役/歯科衛生士/歯科臨床コンサルタントはじめに 第1回では,歯科業界での歯科衛生士にまつわる問題提起をさせていただきました.第2回では「歯科衛生士はどういう歯科医院に勤めたいと思っているか?」に焦点を当て,歯科衛生士との接し方を中心に話を進めていきたいと思います.求められている歯科医院像,歯科衛生士像 現代社会より歯科業界が求められていることは,地域包括ケアをはじめ,治療中心の歯科医療から口腔機能を含んだケアへのシフトです.図1のように,機能回復より形態回復の比重を置いたままの歯科医療では,歯が次々に悪化し,口腔機能の低下を招くため,フレイルの進行を早めてしまう可能性があります. 口腔内の健康が健康寿命にも影響していることを踏まえ,歯科医療が「重症化の予防」や「口腔機能管理」へと移り変わる今だからこそ,歯科衛生士の力が必要になってきているのだと筆者は考えます. しかし,筆者が卒業したとき(28年前)よりも歯科衛生士に求められることが多くなってきているのも事実です(第1回参照).歯周治療,メインテナンス(予防)だけでなく,小児や高齢者の口腔機能管理,多様化した矯正歯科治療,ホワイトニング,インプラントについても勉強しなければいけなくなってきました.歯科衛生士学校への入学が困難ではないなか,入学後「意外と難しい勉強をさせられる」と感じ,歯科医院に就職後「仕事がかなり難しい」と途方に暮れている歯科衛生士が少なくないのが現状です.歯科衛生士への期待のかけ方を間違えないで! ここで,先生がたに理解していただきたいのは,歯科衛生士は学校で学んだことを臨床の現場ですぐに実践できるわけではないということです.ときどき聞こえるのは「卒業したのだからスケーリングくらいできるよね」「メインテナンスできるよね」という新人歯科衛生士への過度な期待です. もちろん,歯科衛生士に「すぐに戦力になってほしい」と考えるのは当然だと思います.しかし,その期待が大きすぎた歯科衛生士は不安を抱えたまま診療をすることになり,次第に毎日の診療が苦しいと感じるようになります.もしくは,はじめはわからないことが多く不安でも,それにだんだんと慣れてきて「まっ,いいか!」と適当な仕事をするようになってしまうケースもあります(図2).いずれの138the Quintessence. Vol.38 No.2/2019—0392

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る