ザ・クインテッセンス 2019年3月号
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成長過程からみる不正咬合の発生要因への考察66the Quintessence. Vol.38 No.3/2019—0562特 集 3A Consideration of The Occurrence Factor of Malocclusion in Terms of Craniofacial GrowthNobuyoshi Somuraキーワード:下顎位,不正咬合,口腔内の成長過程,咬合育成東京都開業 そむら歯科クリニック連絡先:〒185‐0021 東京都国分寺市南町2‐17‐4 国分寺南町ビューハイツ1F素村宣慶はじめに 筆者の歯科医院で子どもの患者が徐々に増えるにつれて,日常臨床でも小児の矯正治療に携わる機会が増えてきた.それと同時に正しい口腔領域の成長とはどのようなものなのかと考えるようになった. 現在,不正咬合を診査・診断する方法は,正しいと思われる形態,動きを探し,その違いを評価し,そこになるべく近づけることで問題を解決しようとする方法が一般的に広く認知されているのではなかろうか. では,口腔内が正しい形態に成長するまでに,どのようなステップがあり,そのステップにはどのような意味があるのだろうか.また,正しく成長しなかった場合,たとえば左右の顎関節の形態に違いがある場合や,本来成長すべき形態に成長できなかった場合は,不正咬合の評価や基準をどこに置くべきなのであろうか. 今回筆者は,口腔内の成長過程で起きるさまざまな問題を,過去の論文を見直すことで検証してみたいと思う.そして,誤った形で成長してしまった患者の治療とメインテナンスを再評価し,口腔領域での形態や機能にどのような意味があるのか考察してみたい.

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