ザ・クインテッセンス 2019年3月号
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ダブルシェルサンドウィッチ&3Dダブルシェルテクニックの臨床術式前歯部CR修復を革新する2つのアイデア特別企画91the Quintessence. Vol.38 No.3/2019—0587Double Shell Sandwitch & 3D Double Shell Technique : A Nobel Method for Direct BondingMorio Okaguchiキーワード:コンポジットレジン修復,MI,築盛,ダブルシェルサンドウィッチテクニック,3Dダブルシェルテクニック東京都開業 岡口歯科クリニック連絡先:〒102‐0083 東京都千代田区麹町2‐12‐1‐201岡口守雄はじめに 近年,Minimal Intervention(MI)の概念の普及とともに,自分の歯を少しでも残したいという患者の要望が高まり,接着修復が以前にも増して注目されている.間接修復の場合,便宜的な歯の切削は避けられないが,直接修復であるコンポジットレジン修復(以下,CR修復)は感染歯質のみを除去し,残った歯質に対して修復処置を行うことができる. 筆者は過去にG.V. Blackの窩洞分類を接着の時代に沿うように一部改変し,欠損形態の分類・治療法を提案した1.欠損形態から修復形態に移行するうえで大切なことは,本来の欠損形態から大きく広げないような修復形態にすべきである.欠損した部位だけを修復し,歯質の削除量を最小限に抑えることができるのは,CR修復の最大のメリットである. しかしながら,CR修復は直接法であることから,間接法と比してその築盛操作等にチェアタイムを要する.とくに前歯部など,患者の審美的要望が高い部位では,形態や色の再現に時間がかかるため,患者,術者の両者の負担が大きいことが,しばし問題であった. 本稿では,審美的再現が求められることの多い前歯部CR修復を簡便かつ短時間で行うべく,筆者が考案した新旧のテクニックを紹介したい.前歯部CR修復の審美的再現の要点は“形”1 前歯部CR修復の審美的な再現においては,ともすれば隣在歯との色調の調和に目を奪われがちであるが,実はもっとも重要なのは,患者本来の解剖学的な歯冠形態の付与である.しかし,その形態付与をフリーハンドで行うには熟練を要し,時間も取られる. 筆者は,2006年発刊の『接着YEAR BOOK 2006』(クインテッセンス出版,現在は絶版)2において,この問題解決の一助となるCR築盛術“ダブルシェルサンドウィッチテクニック”を発表した.Double Shell Sandwitch Technique3D Double Shell Technique

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