ザ・クインテッセンス 2019年4月号
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“Back to the Basics”オーラルスキャナーの時代こそアルジネート印象を再考しよう70the Quintessence. Vol.38 No.4/2019—0784Reconsideration of Alginate Impression in the Era of Intra Oral Scanner Kentaroh Nakamura, Hiroyuki Asai, Yoichi Terao, Hirohisa Hayashiキーワード:アルジネート印象,圧接応力,硬化時の歪み,撤去応力*1愛知県開業 Shurenkai Dental Prosthodontics Institute*2京都府開業 浅井歯科医院*3愛知県開業 てらお歯科クリニック*4愛知県開業 林歯科*1代表連絡先:〒461‐0025 愛知県名古屋市東区徳川1‐407‐2 Fortress TOKUGAWA中村健太郎*1/浅井宏行*2/寺尾陽一*3/林 裕久*4 近年の補綴歯科治療におけるデジタル技術の発展は著しく,デジタル技術によるイノベーション,いわゆるデジタルデンティストリーは補綴歯科技術の進展だけでなく,補綴歯科臨床のワークフローを根本的に変えつつある1.CAD/CAMがラボサイドにおけるデジタルワークフローであるならば,オーラルスキャナーの導入はチェアサイドでのデジタルワークフローであるといえる. オーラルスキャナーを用いることで印象材の収縮や石膏模型材の硬化膨張を解消し,理論上では精度の高い補綴装置が製作できる.少なくとも,従来法と比較して同等あるいはそれ以上の精度,再現性が示されている2.また,オーラルスキャナーによるデジタル印象は効率がよく,安全であり,かつ経済的であるとした意見も多く聞かれる.したがって,印象採得が苦手な若い歯科医師にとってはオーラルスキャナーの発売は福音であろう. しかしながら,開発,発売された日も浅いことから臨床研究もきわめて少なく,決して現在のオーラルスキャナーが完成形とはいえず,現時点ではすべての印象採得において有効であるとは言い難い.また,初期投資が高額となることからデジタルワークフローによる補綴歯科臨床が確立するまで歯科医院経営に影響を及ぼすことも考えられる.さらには,特 集 2なぜ,いまアルジネート印象を再考するのか?PART1

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