ザ・クインテッセンス 2019年4月号
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閉塞性睡眠時無呼吸症候群治療の最前線特別企画改善への近道“SICATエアー”103the Quintessence. Vol.38 No.4/2019—0817It’s High Time to Learn about SASMasami Araiキーワード:睡眠時無呼吸症候群,OA,CPAP,SICATエアー東京都開業 エムズ歯科クリニック連絡先:〒164‐0003 東京都中野区東中野1‐51‐1 JR東中野駅東口ビル2F荒井昌海はじめに:無呼吸の人の10年後 Heらの報告によると,睡眠時の7時間中に20回以上無呼吸になる人の9年生存率はなんと62%であるという1.驚くべき数字であるが,それほど睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:以下,SASと略)は心臓やその他の臓器に対してダメージが大きい.また,Anandamらの報告では,同じくSASの人の8年生命予後は86.3%となっている.ただし,こちらの報告では治療による生存率の回復も報告されており,経鼻的持続陽圧加圧装置(Continuous Positive Airway Pressure:以下,CPAPと略)による治療を行うと96.6%,Oral Appliance(以下,OAと略:マウスピース)治療を行うと95.8%まで生存率が回復することも述べられている2. われわれが歯科治療で行えるOA治療は,生死に直結しているSASを劇的に改善する能力をもっている.今回は,そのSAS治療に対する知識を簡単に共有したい.SASの発生率1 SASは,男性は30~60代の働き盛り,女性は閉経後に発生することが多い.男女比は男性が5に対して女性が2の割合で発症する.SASは体格の大きい欧米人に発生するイメージがあるが,日本人は骨格的な要素(歯列の狭窄,小さな顎)で罹患することが多く,その発生率は欧米と変わらない.日本人の潜在患者数は500万人ともいわれている.SASの定義(無呼吸と低呼吸の違い)2 まず,無呼吸とは「10秒以上の気流の停止」と定義される.その無呼吸が睡眠中7時間に30回以上,または1時間に5回以上発生する状態をSASと診断する.また,「低呼吸」という状態がある.こちらは表1の3項目のいずれかを満たす状態と定義されており,その身体への害は無呼吸と同等とされている.送られてくるOASICATエアーによる気道の検査OA装着仰臥時60%前方位立位

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