ザ・クインテッセンス 2019年5月号
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39the Quintessence. Vol.38 No.5/2019—0979または技工用スキャナから得られるSTLデータを代表とする表面だけのサーフェスデータが挙げられる. たとえば,ジルコニアを用いた補綴装置を製作する場合,チェアサイドではシリコーン材料を用いた従来法による印象採得を行ったとしても,歯科技工所では作業用模型を技工用スキャナで読み込み,口腔内の情報をデジタル化することでデジタルデンティストリーの流れが開始する.その後は,コンピュータ上で補綴装置をデザインし(CAD),ミリングマシンによる加工(CAM)という流れを辿る.つまり,ジルコニアを臨床に取り入れている臨床医であれば,チェアサイドでシリコーン印象をしていたとしても,デジタルの恩恵を十分に受けていることになる.図2a~cにデジタルによる補綴治療の変遷を示す. 近年,口腔内スキャナの登場・普及により,チェアサイドで口腔内情報を直接デジタル化することが可能となった.これにより,「従来法による印象採得→石膏模型製作→技工用スキャナによる模型スキャン」という手間が省けるだけでなく,患者目線において不快感の軽減やチェアタイムの短縮といった恩恵を感じてもらえるようになったことは,めざましい進歩といえるだろう. そこで,本特集では,近い将来,われわれ歯科医師にとって必要不可欠なアイテムになるであろう口腔内スキャナを使って「なにができるのか?」,そして「なにをいつ導入すればよいのか?」ということに焦点を絞って,現時点での最新の知見と合わせて解説したい.図1 すべてのデジタルデンティストリーのワークフローは,生体情報のデジタル化,コンピュータソフトウェア上でのデザイン,加工機による製作という3つのステップから成り立つ.digitali-zationCADCAMみえるわかるできる生体情報をデータ化コンピュータソフトウェア上でのデザイン加工機による製作◆デジタルワークフローの基本的な流れ

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