ザ・クインテッセンス 2019年5月号
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歯科医院の環境整備・感染対策超高齢社会のリスクに備える!58the Quintessence. Vol.38 No.5/2019—0998Environmental Arrangement and Infection Control in Private Dental PractitionerToshihiro Kikutaキーワード:細菌,ウイルス,感染対策,環境整備新百合ヶ丘総合病院歯科口腔外科連絡先:〒215‐0026 神奈川県川崎市麻生区古沢都古255喜久田利弘特 集 2 ヒトは種々の細菌やウイルスを身体にもっています.それらをどのようにして宿すかは,生まれたときからすでにもっている,あるいは成長途中に他者からもらうなど,さまざまな要因が考えられます. 超高齢社会である日本においては,免疫力(抵抗力)の低下した高齢者が歯科医院に来院することが年々増加しており,感染がつねにリスクとしてつきまといます.また,“コンビニより歯科医院のほうが多い”といわれている昨今,高齢者以外にも免疫力の低下した患者を診ることも少なくありません.このことから,歯科医院内での環境整備・感染対策は必須です. 歯科医院において考えられる感染リスクは,以下の4項目です.①歯科治療は口腔内常在菌の多い環境で外科治療を行うことが多い.②口腔内は狭く,しかも治療器具は先端が細く鋭利で,歯科医療従事者はそれらによって自身を損傷する可能性が高い.③歯周病コントロール不良な患者は排膿や歯肉出血が多く,血液暴露などで細菌感染する場合が多い.④治療ユニットはさまざまな患者が入れ替わって使用するため,汚染されやすい. このように,歯科医院においては感染リスクが多く存在し,われわれ歯科医師は感染対策を万全に行い,業務に当たらなければいけません. 本稿では,感染を防ぐための基本的な対策について解説します.はじめに

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