ザ・クインテッセンス 2019年5月号
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歯面コーティング材の現在とこれから70the Quintessence. Vol.38 No.5/2019—1010Present State and Future of Tooth Coating MaterialsShuichi Ito, Takashi Saitoキーワード:歯面コーティング材,バイオアクティブ材料,レジンコーティング北海道医療大学歯学部総合教育学系歯学教育開発学分野*北海道医療大学歯学部口腔機能修復・再建学系う蝕制御治療学分野連絡先:〒061‐0293 北海道石狩郡当別町金沢1757伊藤修一/斎藤隆史* 近年,審美修復の分野においては,CAD/CAM冠の保険診療への導入やジルコニアを用いた修復,セラミック修復などの普及にともない,大きな変化を迎えている.しかしながら,これらの治療は,審美性の回復には優れているものの,広範囲の歯質の切削をともなうため,生活歯の修復においては躊躇されることも少なくない. これまで,間接修復法を行う際には,歯髄への刺激を軽減させることを目的として,「レジンコーティング法」が行われてきた.しかしながら,用いられる歯科材料,社会環境や口腔内環境の変化にともなって,「コーティング法」も変化の時を迎えている.そこで,本稿では現在までのコーティング法とこれからのコーティング法における考え方について解説する.はじめに1.さまざまに応用されている歯面コーティング法 象牙質は歯髄組織に存在する象牙芽細胞で形成されるため,「象牙質-歯髄複合体」として考えなくてはならない.象牙質を切削することにより,象牙芽細胞には,配列の乱れ,細管内への吸引,消失などの変化をもたらし,歯髄組織にも炎症性細胞浸潤などの変化をもたらす.つまり象牙質を切削するということは,象牙質レベルで露髄させているという認識をもたなければならない.象牙質の透過性について簡単な実験を示す.象牙質試料を切り出し,アクリル板に固定する.リン酸水溶液で象牙質処理特 集 3

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