ザ・クインテッセンス 2019年6月号
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―う蝕リスクに基づいた予防歯科教育を携帯電話で行った   個別化う蝕予防プログラム70the Quintessence. Vol.38 No.6/2019—1224特 集 3Personalised Caries Prevention Programme and Mobile Health─from the Literature Review of a PhD Thesis on Patient Education for Preventive Dentistry based on a Caries Risk Assessment Using Mobile Phones─Makiko Nishiキーワード:う蝕リスク,個別化教育,患者教育,mHealth,う蝕予防,う窩撲滅NPO法人最先端のむし歯・歯周病予防を要求する会(PSAP)連絡先:info@honto-no-yobou.jp西 真紀子はじめに 個別化う蝕予防(Personalised Caries Prevention:以下,PCP)プログラムは,「患者個人のう蝕リスク評価(Caries Risk Assessment:CRA)に基づくう蝕予防プログラム」を意味する(表1)1.モバイルヘルス(mobile Health:以下,mHealth)は,「モバイル,ウェアラブル端末を活用する医療サービス」を意味する2. 筆者はPCPプログラムを補助するためのmHealthを使った成人患者の教育を題材にし,昨年,アイルランド・コーク大学にPhD(博士)論文を提出した.その全文は無料でダウンロードできる(https://cora.ucc.ie/handle/10468/7001:上図参照).本論文の「第二章 文献調査」(2. LITERATURE REVIEW)では4つの調査テーマを設け,テーマごとにシステマティック・サーチを行った. 本稿では,このうち「PCPプログラム」(PCP pro­grammes)と「う蝕予防のためのmHealthアプローチ」のセクションを短くまとめたものを紹介したい.PCPプログラムの文献調査 PCPプログラムの論文について,表2の検索ストラテジーでヒットした1,487篇の論文のうち,タイトルから94篇が含まれたので,抄録を調査した.抄録から16篇が除外され,78篇の本文を調査し,最終的に33篇がレビューに含まれた. PCPプログラムについて,「とくにう蝕有病率の高い母集団では,日常臨床の目安」3,「う蝕の正しい予防・コントロール・マネージメントにとって不可欠な要素」4,「歯科医院でのう蝕マネージメントにとって将来のケアの基準」5と概念化されている. 以下,表1のなかからスウェーデン,米国,オーストラリア,英国,日本それぞれで行われているPCPプログラム(成人向き)について述べる.

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