ザ・クインテッセンス 2019年7月号
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61the Quintessence. Vol.38 No.7/2019—1425栄養調査において平成17年度1と平成27年度2の結果を比較してみると,保護者が乳児期の子どもの「離乳食で困ったこと」は,平成17年度では,“食べ物の種類が偏っている”“作るのが苦痛・面倒”“食べる量が少ない”の順に多かったが,平成27年度では,“作るのが負担,大変”の次に“もぐもぐ,かみかみが少ない”と続いた(図1a,b).全体としての悩み事の内容は共通点しているが,保護者の問題意識の傾向は時代とともに変わってきているようである. さらに,「1歳を超えた子どもの食事で困っていること」について,昭和60年度,平成7年度,平成17年度を比較した結果がある(図1c).昭和60年〜平成17年度まで“遊び食い”がもっとも多く,その傾■時代とともに変化する子どもの離乳食や食事で困っていること図1a〜c 保護者が子どもの離乳食・食事で困っていることは,全体として共通しているが時代とともにその傾向は変化している.a:参考文献1より作成.b:参考文献2より作成.c:参考文献1より作成.複数回答 (n=2,722)(n=1,240)(複数回答)離乳食で困ったこと離乳食について困ったこと(回答者:0〜2才児の保護者)食事で困っていること(年次推移)*1食育基本法:「食育基本法」(平成17年法律第63号)は,平成17年に公布され,同年7月に施行された.同法において食育とは,生きるうえでの基本であって,知育,徳育,体育の基礎となるべきものと位置付けるとともに,さまざまな経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し,健全な食生活を実践することができる人間を育てる食育を推進することが求められている.*2授乳・離乳の支援ガイド:妊産婦や子どもにかかわる保健医療従事者が基本事項を共有し,支援を進めていくことができるよう,保健医療従事者向けに平成19年3月に作成された.その後,約10年が経過するなかで,科学的知見の集積,育児環境や就業状況の変化,母子保健施策の充実等,授乳および離乳を取り巻く社会環境等の変化がみられたことから,2019年に改訂版が発行された.*3第3次食育基本計画:食育基本法では,農林水産省に設置される食育推進会議において,食育推進基本計画を作成することが定められている.これに基づき,平成28年3月に過去5年間の食育に関する取り組みの成果と課題を踏まえ,「第3次食育推進基本計画」が決定された.なお,現在,第4次食育基本計画の取りまとめが行われている.開始の時期が早いといわれた0.8開始の時期が遅いといわれた2.5開始の時期がわからない5.1食べる量が少ない20.6食べる量が多い7.1食べものの種類が偏っている28.5食べるのをいやがる13.1作り方がわからない6.6作るのが苦痛・面倒23.2食べさせるのが苦痛・面倒7.5子どもがアレルギー体質7.3相談する人がいない(場所がない)1.5特になし37.5a作るのが負担,大変33.5もぐもぐ,かみかみが少ない(丸のみしている)28.9食べる量が少ない21.8食べものの種類が偏っている21.2食べさせるのが負担,大変17.8乳汁(母乳や人工乳)と離乳食のバランスがわからない17.1食べるのをいやがる15.9乳汁(母乳や人工乳)をよく飲み,離乳食がなかなか進まない12.6食べる量が多い5.5作り方がわからない5.3開始の時期がわからない3.5食べ物をいつまでも口にためている3.0相談する人がいない,もしくは,わからない1.0相談する場所がない,もしくは,わからない0.7その他4.6【参考】上記の困ったことがある74.1特にない25.9b遊び食い偏食するむら食い食べるのに時間がかかるよくかまないちらかし食い口から出す*小食食べすぎる食欲がない早食い困っていることはない01020304050昭和60年平成7年平成17年(1歳以上,複数回答)*平成17年新規項24.58.823.024.920.613.617.93.55.92.143.445.434.020.317.715.18.24.64.513.12.13.518.814.712.610.721.714.924.518.818.817.918.618.617.718.88.28.838.638.629.229.229.229.2(%)c

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