ザ・クインテッセンス 2019年8月号
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VERIFICATION第2回 アブフラクション仮説以外の検証摩耗の帰還こんな診断してませんか?くさび状だからアブフラクション?この間に何が起きた?146the Quintessence. Vol.38 No.8/2019—1728NCCL Update 2019─Return of AbrasionToshifumi Kuroeキーワード:NCCL,アブフラクション,摩耗,酸蝕,咬耗,tooth wear山形県開業 黒江歯科医院連絡先:〒992‐0472 山形県南陽市宮内3577黒江敏史はじめに 前号ではtooth wearとしてのNCCL概論,ならびにアブフラクションの歴史的背景と科学的根拠についてまとめた.アブフラクションが提唱された当時は,根拠が脆弱なエクスパートオピニオンであったこと,その後も実証は成功していないことを示した.「アブフラクションは実証されていない理論的な仮説」というEFP(European Fedration of Periodon-tology)とAAP(American Academy of Periodontology)のコンセンサスに代表される学術的評価1〜7は,真摯に科学的根拠を洗い直してアップデートしてきた結果である.もしアブフラクションが事実ではない,あるいは非常に稀な現象であるとしたら,何がNCCLを起こしているのであろうか? アブフラクション否定派は,摩耗の影響を強調している8〜9.一方,アブフラクション肯定派は,「摩耗の影響は無視できる程度である」10と述べており,ここでも大きく見解が食い違っている.今号ではまず摩耗に関する研究を総括し,前号でカバーできなかったアブフラクションに関する臨床研究の結果も紹介する.また,酸蝕とNCCLの関連についても考察する.

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