ザ・クインテッセンス 2019年9月号
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咬合の動的平衡インプラントを用いた咬合再構成の術後経過を検証する60the Quintessence. Vol.38 No.9/2019—1876 「Professor. Slavicek,貴方のおっしゃっている咬合とは,ある瞬間の上下顎の歯の接触を意味しており,咬合は日々刻々と変化しうるものだとご説明されているのですね」.2006年,高添一郎名誉教授は静かに語り,その問いかけにProf. Slavicekも静かに頷いた(図1). 歯,歯周組織,顎関節および筋,周囲組織は日々刻々と変化している.同時にそれらすべてが調和することで,咬合は生物学的に安定する傾向にある(咬合の動的平衡).一方,矯正やインプラントを併用した咬合再構成症例において,予定調和から外れ,咬合が著しく不安定となる症例も少なくない.事実,Dr. Littleは矯正治療後に咬合が安定する症例はわずか28%だとも述べている¹. 果たして,補綴的咬合再構成の術後安定が長期に得られる確率とはどれくらいなのだろうか. そこで,まずは筆者が過去15年で全顎的治療となった312症例のうち,治療そのものや術後管理が特 集 2Dynamic Equilibrium of Occlusion:A Study of the post-operative Course of Full Mouth Rehabilitation using ImplantsMotohiro Takaiキーワード:矯正治療既往,咬合術後管理(COM-test),臼歯部開咬, 三次元セファロ分析,変形性関節症東京都開業 Premium Dental Care EBISU・DAIKANYAMA連絡先:〒150‐0021 東京都渋谷区恵比寿西1‐22‐5 シルクロード代官山1F髙井基普はじめに

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