ザ・クインテッセンス 2019年9月号
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61the Quintessence. Vol.38 No.9/2019—1877難しいと感じた症例を列挙し,分析してみることから始めてみた.その結果,咬合再構成治療の術後経過の実態とその傾向を知ることができた. 今回は,そのなかでもっとも術後管理の重要性と難しさを感じた,“抜歯矯正の既往がありインプラント治療を併用して咬合再構成を行った症例”を選択した.本症例における,術後の咬頭嵌合位が不安定に推移する状況を視覚的に提示し,その背景を分析し,考察を加えることとした結果をもとに,近未来歯科医学が掲げる命題を明確にしてみたいと思う.それでは,その物語を進めていくことにしよう.図1 2006年,DQV・学術ミーティングにて“咬合”をテーマに熱いディスカッションが行われた.上段左から須田立雄先生,佐藤貞雄先生,高添一郎先生,Prof. Slavicek,山田正先生.下段左から竹澤保政先生,登倉博子先生,筆者,江本元先生.本稿で提示する咬合再構成症例における,術後1年から2年の咬合接触状態の変化.左右大臼歯の咬合接触が減弱し,臼歯部開咬傾向にある.このような変化は,なぜ生じるのだろうか?術後1年(150μm)術後2年(150μm)臼歯部開咬LRRLこの前歯の修復を長期で安定させるためにも全顎的な咬合安定は必須である.

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