ザ・クインテッセンス 2019年10月号
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断髄と根管閉塞そのメカニズムと臨床的対応64the Quintessence. Vol.38 No.10/2019—2118特 集 2Pulp Canal Obliteration after Pulpotomy─The Mechanism and Clinical ApproachKouichi Henmi, Masaki Shimonoキーワード:断髄,根管閉塞,歯髄保存治療*東京都開業 恵比寿ヘンミデンタルオフィス連絡先:〒150‐002 東京都渋谷区恵比寿西2‐2‐8 寿豊ビル4F*1東京歯科大学名誉教授連絡先:〒260‐0011 千葉県千葉市美浜区真砂1‐4‐16辺見浩一*/下野正基*1 歯髄保存治療は,近年非常に注目を浴びている治療である.従来に比べてさまざまな知見,エビデンスが整い,多くの歯髄を残すことが可能になった.また,マイクロスコープなどの拡大装置の普及による恩恵を受けていることはいうまでもない.抜髄が臨床のなかで減ってきていることを実感されている先生も少なくないのではないだろうか? しかし,筆者(辺見)が歯髄保存のさまざまな症例を経験するなかで,「本当に歯髄を残すことだけが正しいことなのか」と疑問を感じる“根管閉塞”の症例に出会い,その疑問を下野正基先生に問いかけたところ,非常に示唆に富む回答をいただくことができた.それをきっかけとして調べたり,考えたりしたことが本稿のベースになっている.歯髄保存治療の結果として起こる可能性のある根管閉塞について,臨床的な観点と病理学的な観点から症例をとおして考察していく.はじめに

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