ザ・クインテッセンス 2019年10月号
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ユニバーサルアドヒーシブのダブルアプリケーション法を検証する─初期接着強さおよび接着疲労耐久性への効果─はじめに ユニバーサルアドヒーシブは,組成とともに臨床術式においても,従来のシングルステップセルフエッチアドヒーシブと類似点が多いとされている1,2.そのすぐれた操作性とともに汎用性が高いところから,臨床における使用頻度が増加している3.とくに,異なる被着体に対して接着性を有するという利点は,直接修復のみならず間接修復あるいは補修修復を行うことができるという利点を有している.さらに,歯質に対してエッチ&リンス(ER)モード,セルフエッチング(SE)モードあるいはエナメル質のみをリン酸エッチングするセレクティブエッチングモードと,異なるエッチング手法を選択可能としている.この特性は,窩洞の大きさ,深さ,位置あるいは窩洞を構成するエナメル質と象牙質の割合などを勘案して,それぞれの症例に適したエッチングモードを選択することを可能としている4,5. ユニバーサルアドヒーシブの接着強さは,従来のシングルステップSEシステムと同等あるいはそれ以上の値を示すものの,2ステップSEシステムに比較すると初期接着強さのみならず,接着疲労強さにおいても低いとされている(表1,2)6.もちろん,これは接着強さという値からの比較であって,臨床的にどの程度の接着強さがあれば十分であるかについては,今後の検討が待たれるところである.すなわち,ユニバーサルアドヒーシブを用いたコンポジットレジン修復の予後については,口腔内での長期観察に関する報告は少ないが,実験室環境のデータからは接着耐久性を向上させることが望まれているところである7. そこで,ユニバーサルアドヒーシブの歯質接着性および接着耐久性を向上させる臨床術式について,基礎研究から得られた知見とともにその臨床応用の実際を解説する.1.接着耐久性の劣化因子 ユニバーサルアドヒーシブの組成は,次の3点の効果を得るために重要なものとなる.すなわち,高見澤俊樹/宮崎真至Assessment of Double Application Method Using Universal Adhesives─Effect on Early Bond Strength and Bonding Durability─Toshiki Takamizawa, Masashi Miyazakiキーワード:ユニバーサルアドヒーシブ,接着耐久性,ダブルアプリケーション日本大学歯学部保存学教室修復学講座連絡先:〒101‐8310 東京都千代田区神田駿河台1‐8‐13154the Quintessence. Vol.38 No.10/2019—2208

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