ザ・クインテッセンス 2019年12月号
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歯科用ユニット給水系(DUWLs)の汚染対策を考える74the Quintessence. Vol.38 No.12/2019—2608Management of Microbial Contamination in Dental Unit Waterlines (DUWLs)Katsuyuki Atsumiキーワード:水道水,DUWLs,Poseidon,従属栄養細菌埼玉県開業 デンタルクリニックK連絡先:〒332‐0006 埼玉県川口市末広1‐2‐13渥美克幸特 集 2はじめに 2014年5月18日付の読売新聞の一面に「歯削る機器,7割使い回し」という見出しの記事が掲載された.これにより,歯科における院内感染対策が不十分である実態が露見し,歯科に対する国民の信頼を揺るがす事態となったことは記憶に新しい. その際,主に問題となったのはエアタービンハンドピースの滅菌についてだが,当然ながらこれは氷山の一角に過ぎない.歯科診療所で行うべき感染制御の範囲は多方面に及ぶ(図1). そのなかで,器材の洗浄・消毒・滅菌に関してはさまざまなところで論じられているが,われわれ歯科医師の日常臨床に欠かせない歯科用ユニット内部の給水系が汚染されているという事実は,意外と知られていない. 本稿では,その原因ならびに対策について考えてみたい.感染源としての歯科用ユニット給水系(DUWLs) 歯科用ユニットを用いる際には電源と圧縮空気,そして水が必要不可欠である(図2).その水を供給するのが歯科用ユニット給水系(Dental Unit Water-lines:以下,DUWLs)であり,水源には一般的に水道水が用いられる. これは,我が国の水道普及率が98%といわれており1,医療にかかわらず,さまざまな局面で使用される水のほとんどが水道を通して供給されているためである(図3).

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