ザ・クインテッセンス 2019年12月号
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はじめに おおむね抜歯後2か月経過時点の抜歯窩は,抜歯窩粘膜上皮の厚みが回復し,抜歯窩内面の束状骨1の吸収が終わり,層板骨の形成が始まる時期になる.抜歯後2か月の抜歯窩の特徴として,唇側と頬側骨の吸収量は,抜歯窩隣接歯間部の骨吸収が比較的少ないこと,それによって抜歯窩と周辺骨との境界が明瞭であり,インプラント埋入とGBRを同時に行うときに骨補填材を保持しやすい歯槽骨形態をしていることなどが挙げられる. 過去,筆者は抜歯後2か月でのインプラント埋入について,本誌でその利点を詳しく述べた2.本稿では,前回執筆した内容を踏まえ,抜歯後2か月の抜歯窩の特徴を活かしたインプラント埋入の可能性とその応用法を考察してみたい.抜歯後早期(2か月)埋入の概要とメリット 文献では,抜歯後の埋入時期をType1~4に分類3している. 筆者の推奨するインプラント埋入の時期は,抜歯後2か月以降のおおむね抜歯後8~9週である.この期間はType2とType3の中間の時期となり,早期埋入にあたる.前述したようにインプラント埋入と同時にGBRを行う場合,この時期の抜歯窩にはいくつかの特徴と利点がある.それらを参考症例とともに提示する(図1~8).佐藤憲治Potential and Application of Implant Placement 2 Months after Tooth Extraction ─Early Placement of Tooth Extraction in Daily Clinical Practice─Kenji Satoキーワード:抜歯窩,骨吸収,GBR,早期埋入神奈川県開業 さとう歯科医院連絡先:〒216‐0033 神奈川県川崎市宮前区宮崎1‐8‐10 田毎ビル3F抜歯後2か月インプラント埋入の可能性と応用法─日常臨床における抜歯後 早期埋入─ 基本テクニックとして,①抜歯後おおむね8~9週を基本とし,状態によって埋入時期を延長する,②初期固定の良いテーパードインプラントを使用する,③GBRは,骨補填材と吸収性コラーゲン膜を主に使用するなどが挙げられる.早期埋入の基本テクニック!124the Quintessence. Vol.38 No.12/2019—2658

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