ザ・クインテッセンス 2020年1月号
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今こそ論考する!ニッケルチタンファイルによる根管形成新連載(全4回)147the Quintessence. Vol.39 No.1/2020—0147今だからこそ,ニッケルチタンファイルと向き合おう!第1回はじめに 日常臨床において,どのくらいの頻度で根管治療を行っているか疑問に感じたことはないだろうか? 保険診療請求回数の全国集計データによると1,年間で約1,500万件の根管処置(抜髄・感染根管処置)が行われており,一般臨床を行っている歯科医師は,1日の診療時間のうち多くの時間を根管治療に費やしていることが想像できる.根管治療が多いということは,それだけ根管を触る時間が多く,またそれにかかわる頻度も高いことがわかる.「根管を触る」行為は「根管を拡大・形成または洗浄する」行為と同義である.では,この根管の拡大・形成について,普段どのように行っているのであろうか? おそらく,その多くは手用のステンレススチールのリーマーやKファイルといったものではないだろうか.現在,歯科学生に対する歯学部卒前教育において,従来の手用ファイルの根管形成に加え,ニッケルチタンファイル(以下,Ni-Tiファイル)を使用した根管形成の実習をカリキュラムに追加している歯学部も徐々に増えてきたようである.筆者(林)が非常勤講師を務める東京医科歯科大学でも,2015年から学生実習にNi-Tiファイルのパートが追加された.少しずつではあるが,時代とともに根管形成に使用する器具も変化・進化してきている. さて,Ni-Tiファイルの研究が始まり,約30年が経過した.初期のNi-Tiファイルは従来の手用ファイルと同じようにステップバック法で使用されていた.これを言い換えれば,ステンレススチールがNi-Tiという材質に変化し,手で行っていた作業をエンジン(当初はトルクコントロールもないコントラアングル)で行うようになった(手用のNi-Tiファイルも存在するが,その多くはエンジン用である).その後,クラウンダウン法が登場することにより,Ni-Tiファイルにも大きな変化が起こった.使用するファイルの本数が少なくなり,治療の効率化が図られるようになった.1Aホール午前10/18(日)講演者論文4Cホール午後10/18(日)講演者論文連絡先:〒980‐0875 宮城県仙台市青葉区星陵町4‐1*1東北大学大学院歯学研究科口腔修復学講座歯科保存学分野*東京都開業 高田馬場 新田歯科医院連絡先:〒169‐0075 東京都新宿区高田馬場1‐29‐4林 洋介*/八幡祥生*1

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