ザ・クインテッセンス 2020年1月号
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164the Quintessence. Vol.39 No.1/2020—0164子どもたちの  と    を育てる歯科医療口腔機能口腔機能歯列歯列チームで取り組む!第回子どもたちの口腔の現状とは1 当院は東京都世田谷区の砧に位置する,18歳以下を対象とした小児歯科専門のクリニックです.子どもたちの歯を守りながら,歯列と口腔機能の正常な発育を促し,健全な口腔を育成していくことを目指して日々診療を行っています.小学校入学前後の年齢層を中心に多くの子どもたちを日々診療していると,歯ならびに問題が出る子どもたちには,必ずといっていいほどお口の機能異常がともなっていることに気づきます.たとえば,異常嚥下癖のような間違った舌の動きが長期的に続くと,前歯の歯ならびに開咬,上顎前突,下顎前突などの症状として現れます.歯ならびの善し悪しを決めるのは遺伝的な要素だけでなく,お口の機能の問題が深くかかわっているのです. 3〜5歳ごろに身につけるべきお口の機能が未熟のままであれば,その後の歯列や顎骨成長に問題をきたします1.お口の機能や歯列に問題を抱えたまま成長するということは,心身の発育にも影響しますし,将来的に歯を失うリスクが高い口腔環境であることを意味します.子どもたちの将来にわたる健康のためにも,健全な口腔環境に導くことは,歯科の大切な役目であると考えています. しかしながら,臨床の現場においては口腔機能の発達支援や歯列不正の予防的介入を「どのように行えばよいのか?」「アプローチの方法やタイミングがわからない」といった声を耳にします.今回の連載では,いまの子どもたちの歯列不正の原因論と治療論,当院が行っている歯列を育成するためのチームアプローチ,口腔機能発達の支援について報告させていただきます. 連載第1回目である今回は,現代の子どもたちに増えているお口の問題と,臨床の現場でその問題に気づくためのポイントについて述べさせていただきます.連載のはじめに*1医療法人社団百瀬歯科医院 歯列育成クリニック*2日本歯科大学生命歯学部 小児歯科学講座*3日本大学松戸歯学部歯科 矯正学講座代表連絡先:*1〒157‐0073 東京都世田谷区砧6‐25‐16島津貴咲*1,*2/林 亮助*1,*3

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