ザ・クインテッセンス 2020年2月号
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53the Quintessence. Vol.39 No.2/2020—0323を有するぞれぞれの歯は,おのおのの責務を果たすために適所に形態を生かし鎮座する.その生命原理とメカニズムを深く理解することは,歯学を科学として革新していくための鍵となり得るだろう.偉大な建築家,アントニガウディは芸術と自然の関係について以下のように述べている.「芸術におけるすべての答は,偉大なる自然のなかにすべて出ている.ただ私たちは,その偉大な教科書を紐解いていくだけなのだ」 それではあえてひとつの問題を提起してみよう.「理想的な天然歯の形態・理想的な天然歯列の基準は存在するのか.また,個性・多様性をどこまで許容できるのだろうか」といった至ってシンプルな疑問である. そこで本稿では,日本人の天然歯・天然歯列を分析し,包括的な歯科診療に向き合うときの至適基準をつくるべく,仮説と検証を繰り返しながら真理を追求することにする.

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