ザ・クインテッセンス 2020年2月号
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今こそ論考する!ニッケルチタンファイルによる根管形成連載(全4回)163the Quintessence. Vol.39 No.2/2020—0433“金属材料学”からみたニッケルチタンファイルの臨床的有用性第2回はじめに 昨今は,数多くのNi-Tiファイルが流通している.何が良いのか,実際にどれを臨床へと取り入れるのか,その選択は悩ましい. 第2回では,筆者(八幡)が,「製品それぞれの特徴の言及」から少し離れて,Ni-Tiファイルを金属材料学的視点から捉え,それを基に理にかなった臨床使用というものを考えていく.Ni-Tiファイルに求められること Ni-Tiファイルは,ニッケルチタン合金の超弾性,形状記憶,または低い弾性率といった特性を活かして根管形成に応用されてきた(図1,2).Ni-Tiファイルに求められることは,以下の3点に集約される.1)柔軟性があり,湾曲根管によく追従する2)切れ味がよく,効率的に根管形成ができる3)折れない(折れにくい方策が練られている) これらは臨床術式や術者の技量のみによって解決されるものではなく,金属学や材料力学的な対応により最適解を求めていく必要がある.“柔軟性があり,湾曲根管によく追従する”を可能にする金属材料 Ni-Tiファイルの柔軟性は,ニッケルチタン合金の「弾性率」,「相変態挙動〔COLUMN①〜③参照〕」および材料力学における「サイズ(先端径〔Ni-Tiファイル余話①参照〕,テーパー)」,「断面形態(断面二次モーメント)」によって決定される. 以下,Ni-Tiファイルの柔軟性にもっともかかわる相変態挙動やその断面の形について解説する.1Aホール午前10/18(日)講演者論文4Cホール午後10/18(日)講演者論文連絡先:〒980‐0875 宮城県仙台市青葉区星陵町4‐1*1東北大学大学院歯学研究科口腔修復学講座歯科保存学分野*東京都開業 高田馬場 新田歯科医院連絡先:〒169‐0075 東京都新宿区高田馬場1‐29‐4林 洋介*/八幡祥生*1Movieスマホで動画が見られる!(使い方:P3参照)P164,171,172

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