ザ・クインテッセンス 2020年4月号
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隣接面う蝕に対する新たなアプローチ─非侵襲的で効果的なマネージメントの実際─54the Quintessence. Vol.39 No.4/2020—0840特 集 1はじめに 日本の小児および若年者のう蝕は減少している.12歳のDMFTは,2014年に1.0,その後さらに低下し,2019年には0.7と報告されている1.しかしながら,予防先進国といわれているデンマークでは,12歳のDMFTは,2014年に0.42,Odder市では,2012年には18歳DMF=0が半数を超え,2017年には約80%と報告されており3,日本もまだ改善の余地があると思われる. 筆者の診療室では,20年ほど前からすべての患者の口腔内情報をデータベースに登録して評価するシステムを整えている.2019年12月に6~18歳まで継続して来院した68名についてのカリエスマネジメントの成果を調べたところ,DMFT増加の平均は1.3,DMFT=0が42名(62%)だった.18歳までに充填した部位は,臼歯咬合面が49歯面,臼歯隣接面が29歯面,前歯隣接面が13歯面,臼歯頬舌面が13歯面であった.しかし,臼歯部の隣接面では,18歳時点で21人の54歯面に咬翼法によるデンタルエックス線写真で透過像を認めた.このため,臼歯隣接面のう蝕は,非切削でモニタリングしている部位と切削充填した部位の合計は83歯面と最多であり,カリエスマネジメントの大きな課題となっている(表1). 2009年にDMG社から隣接面初期う蝕シーリング材としてIconが発売され,2012年にヨシダ社から発売されるようになった.2013年には,カボデンタルシステムズ社から隣接面のう蝕検出機器としてDIAGNOcamが発売された.筆者の医院では,IconとDIAGNOcamを発売と同時に入手して臨床に活用してきた.6年以上にわたる使用実感として,カリエスマネジメントに十分効果があると感じている. 本稿では,臨床例を提示しながら解説したい.Seiichi Sugiyamaキーワード:隣接面う蝕,カリエスマネジメント,Icon,DIAGNOcam千葉県開業 杉山歯科医院連絡先:〒276‐0027 千葉県八千代市村上団地1‐53杉山精一A Novel Approach for Proximal Surface Caries

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