ザ・クインテッセンス 2020年4月号
7/8

今こそ論考する!ニッケルチタンファイルによる根管形成連載(全4回)147the Quintessence. Vol.39 No.4/2020—0933ニッケルチタンファイルは今後どこに進んでいくのか?第4回(最終回)はじめに Ni-Tiファイルが臨床の現場に登場して約30年近くの時間が経過した.当初,市場に登場したNi-Tiファイルは,ステップバック法で使用するステンレススチール手用ファイルを金属材料学的に,いわばステンレススチールからNi-Ti合金に置き換わり,それをエンジンに装着して使用するだけであり,現在流通しているNi-Tiファイルのシステムと比較すると治療の効率化という意味ではまったくの別物であったのかもしれない.しかし,当時はそれが画期的であったのは明白で,その後さまざまな研究開発が各メーカーで行われてきた. 米国の一般開業医に対するアンケート調査では,一般開業医の約75%が日常臨床でNi-Tiファイルを使用しているとの報告も存在し1,すでに米国でNi-Tiファイルは広く浸透していることがうかがえる.これは,Ni-Tiファイルが歯内療法専門医専用の診療用器具ではないことの証明でもあるといえる. しかし話を聞く限り,わが国でのNi-Tiファイルの使用率に関してはかなり低いのではないかと思われる.前出のアンケート調査では,Ni-Tiファイルを使用する際に興味のあるポイントに関しても記載があり,ここではNi-Tiファイルの破折とコストという回答がある.わが国でNi-Tiファイルの普及率が上がらない原因には,このコストの面も大きく影響していることが推測できる. 残念ながら根管治療の診療報酬は,われわれ歯科医師が時間をかけてやっていることに見合わないと思われ,わが国での現状ではなかなか難しい問題なのかもしれないが,従来のステンレススチールファイルを使用した根管形成と比較して,Ni-Tiファイルは根管形成の効率化および時間短縮を図ることができる可能性を十分に備えていることは,これまでの連載でおわかりいただけたのではないかと思う. 最終回となる本稿では,これまで紹介していないNi-TiファイルやNi-Tiファイルを駆動するためのモーター,この先Ni-Tiファイルがどのような方向に進んでいくのかに関しても考察してみたい.1Aホール午前10/18(日)講演者論文4Cホール午後10/18(日)講演者論文連絡先:〒980‐0875 宮城県仙台市青葉区星陵町4‐1*1東北大学大学院歯学研究科口腔修復学講座歯科保存学分野*東京都開業 高田馬場 新田歯科医院連絡先:〒169‐0075 東京都新宿区高田馬場1‐29‐4林 洋介*/八幡祥生*1Movieスマホで動画が見られる!(使い方:P3参照)P148,149,151,152

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る