ザ・クインテッセンス 2020年5月号
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“Why?”から“How to”を導く実践 歯内療法その治療選択のエビデンスとアプローチ連載162the Quintessence. Vol.39 No.5/2020—1202はじめに 第4回では診査,診断について言及したが,診査から診断を行った後は,それに応じた治療計画立案が必要となる.患歯に対する正確な診断は1つであるが,治療計画は幾通りもあり,それはEBD(evidence-based dentistry)すなわちエビデンス,歯科医師の技量,患者の希望を基礎に決定されるべきである. 第5回では,エビデンスに基づいて,歯内療法における治療計画について述べていく.1.治療計画概論 治療計画立案は,正確な診断に基づき行われる.歯内療法は1歯の診断から,その歯の治療の可否を判断するものであるが,全顎的な治療計画を考慮したうえで,その歯の歯内療法,さらには保存が妥当であるかを判断する必要がある. マイクロスコープ,CBCT,ニッケルチタンファイル,超音波器具,バイオセラミックセメントなどの活用により,過去には抜歯を余儀なくされていたケースも,長期的に保存が可能となってきている.AAE(米国歯内療法学会)が公表しているcase diculty assessment form and guidelinesという難易度基準がある1.術前に治療の難易度を把握したうえで,難易度の高い症例は,必要に応じ専門医に紹介することが賢明である.また歯内療法の予後が良くないと判断される場合には,抜歯という治療計画が代替案として提案されるべきである.2.歯内療法の予後1)治療計画立案のために考慮すべきこと 数多くの過去の研究報告により,歯内療法の結果を左右するいくつかの因子が明らかになってきた.システマティックレビューでは,根尖部にエックス米国勤務 Sigma Dental Specialists連絡先:220 S Denton Tap Rd Suite 102, Coppell, TX 75019*東京都勤務 川勝歯科医院連絡先:〒167‐0051 東京都杉並区荻窪5‐18‐17嘉村康彦/田中利典*第5回 エビデンスに基づいた治療計画

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