ザ・クインテッセンス 2020年6月号
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前編リアル下顎運動「形態」と「構造」と「機能」から探る舵を切る! 側方運動の仕組み~その実像を捉える~62the Quintessence. Vol.39 No.6/2020—1352特 集 1Masakazu Matsushima, Kaname Onishiキーワード:顎運動,側方運動,アンテリアガイダンス,ポステリアガイダンス*東京都開業 神田歯科医院*1東京都勤務 神田歯科医院代表連絡先:〒101‐0044 東京都千代田区鍛冶町2‐2‐9‐3F松島正和*/大西 要*1The “fact” of Mandibular Movement Part 1. The Mechanism of Lateral Movementはじめに 樹木は,幹の部分が中心となって成長します.幹から枝が生え,多くの葉が出て,そして花が咲くのです.歯学を振り返るとき,その幹の役割を果たしているのが,顎口腔系の行うさまざまな運動であると筆者は考えます.顎口腔系を理解することが,私たち臨床医の足場(土台)となります.そのためには,顎口腔系を構成する各組織の詳細な「形態」と「構造」と「機能」を熟知する必要があります. 本連載では,下顎運動の実際(本連載では,“リアル下顎運動”とします)について3回に分けて解説していきます.前編となる今回は,「形態」と「構造」と「機能」の方程式を駆使して,顎運動のブラックボックスといわれる「側方運動」を解き明かします.それでは始めましょう.側方運動時のガイド まず,患者さんに右側方運動をしていただきます(63ページ参照).この患者さんの側方運動時のガイドはどこでしょうか? 有歯顎側方運動のガイドの部位についてです.答えは3か所.1か所は口腔内のいずれかの歯.ここを「アンテリアガイダンス」と言います.残りの2か所は左右2つの顎関節.ここを「ポステリアガイダンス」と言います. 筆者は,多くの先生方から「ポステリアガイダンスのイメージが湧いてこない!」と聞きました.われわれ歯科医師は,大学教育で「犬歯誘導」と「グループファンクション」という,2つの代表的なアンテリアガイダンスを学びました.この単語のインパクトがあまりにも大きいため,どうしても側方運動と聞くと,口腔内のみに注意や注目が集中してしまう

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