ザ・クインテッセンス 2020年6月号
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補綴歯科治療にデジタル式検査機器をどう活かすかデジタルデンティストリーで機能・咬合を“見える化”しよう!補綴歯科治療にデジタル式検査機器をどう活かすか76the Quintessence. Vol.39 No.6/2020—1366特 集 2 目覚ましいデジタル技術の発展により,歯科臨床は変革しつつある.デジタル化の流れは補綴臨床が主となり,CAD/CAM,口腔内スキャナー,3Dプリンター,ガイデッドインプラントサージェリーなどの機器やシステムやCAD/CAM冠,モノシリックジルコニアなどの歯冠材料が産み出してきた1. なかでも,CAD/CAMや口腔内スキャナーによって医療技術の向上だけでなく,医療のワークフローそのものが変遷しようとしている2〜5.それにともない,メタルフリーによる審美修復が加速度的に普及して,いまやデジタルデンティストリーは審美補綴治療やインプラント治療には欠かせないといっても過言ではない6.では,歯冠補綴装置や上部構造をデジタル技術で製作する,すなわちデジタル式補綴装置製作機器をデジタルデンティストリーの代名詞としてしまってよいのだろうか. 歯科臨床のなかにはさまざまな検査機器がすでに存在しており,補綴臨床にもいくつかの検査機器が在る.しかしながら,往々にして最新の治療方法や補綴材料には強い関心が寄せられるも,検査や評価はまったく見向きもされていないといわざるをえない.検査や評価をしてこその補綴歯科治療7のはずなのだが…….筆者は,咬合検査や咀嚼機能検査にもデジタル式検査機器が存在しており,これらも“デジタルデンティストリー”に包含するべきであると提言したい(表1)8. 臨床的に認められる咬合異常は,いわゆる咬合接触の異常であり,下顎運動の際に生じる咬合の不調和を示す.異常な咬合接触は顎口腔系に対して種々の影響を与えることが報告されている9.一般的に,咬合検査といえば異常な咬合接触を探知する検査として,何かしらの機能障害が発現している症例に適応され,その多くは早期接触や咬頭干渉の発見に応用されている. しかし,デジタル式検査機器による咬合検査では,早期接触や咬頭干渉を探知するだけではなく,早期接触や咬頭干渉を予防することができる.デジタル下顎運動記録装置によって下顎位を三次元的な顎間関係として可視化できることから,顎間記録の精確性および再現性に優Let’s Visualize the Function and Occlusion by Digital Dentistry:How to Utilize the Digital Device for Prosthodontic Treatmentキーワード:デジタルデンティストリー,咀嚼機能検査,下顎運動記録装置,咬合検査愛知県開業 やまもと歯科醫院*愛知県開業 Shurenkai Dental Prosthodontics Institute代表連絡先:〒444‐0102 愛知県額田郡幸田町久保田本郷46‐6山本司将/中村健太郎*Morimasa Yamamoto, Kentaroh Nakamuraデジタル式検査機器もデジタルデンティストリーの一員である(中村健太郎)

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