ザ・クインテッセンス 2020年6月号
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オリンピックまであと1年オリンピックまであと1年̶その基本的知識と製作ステップ̶̶その基本的知識と製作ステップ̶つくってみよう!スポーツマウスガード96the Quintessence. Vol.39 No.6/2020—1386特 集 3はじめに 2011年,「スポーツは世界共通の人類の文化である……」の前文で始まる「スポーツ基本法」が制定され,このなかに歯科という文言が明文化された. これは子どもからお年寄りまで,すべての国民がスポーツを通じて幸福で豊かな生活を営む「権利」があることを保障する画期的な法律である. スポーツは,個人競技でもチーム競技でも,お互いの存在を尊重し,決して傷つけてはいけないという基本理念から,決められたルールに従って技術をコントロールしている.しかしながら,必ずしもそのとおりにならないのも事実であり,スポーツにケガが付きものなのは誰もが知っている.ヒートアップした試合では,偶発的に味方や相手にダメージを与えてしまうことは多々見受けられ,顎顔面部においても防具(安全具)装着の有無にかかわらず,外傷の発生頻度はおのずと高くなる. 顔面や口腔周囲は衣服で覆うことのできない唯一の部位であり,外傷の発生は衝撃や疼痛のみならず,審美的観点からも心理的に与える影響は極めて大きいものと考えられる.したがって,より確実な安全対策が必要とされている. 本稿では,スポーツにおけるケガの予防を行うためのアイテムであるマウスガードの製作方法についてステップを踏んで解説していくとともに,重要であるが忘れがちな製作後のメインテナンスについても述べていきたい.Hiroshi Suzuki日本大学松戸歯学部口腔健康科学講座顎口腔機能治療学分野連絡先:〒271‐8587 千葉県松戸市栄町西2‐870‐1鈴木浩司Let's Try to Make a Sports Mouthguard!:Its Basic Knowl-edge and the Production Processキーワード:スポーツ歯学,カスタムメイドマウスガード,口腔外傷予防,脳震盪軽減,下顎の固定

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