ザ・クインテッセンス 2020年6月号
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子どもたちの  と    を育てる歯科医療口腔機能口腔機能歯列歯列チームで取り組む!154the Quintessence. Vol.39 No.6/2020—1444第回口腔機能の発達を促す指導・トレーニング6 口腔機能に問題をもつ子どもたちが増加している背景には,現代の日本の子どもたちを取り囲む環境の変化がかかわっていると考えられます.咀嚼力をあまり必要としない軟食化が一般化したことで,本来食事を通して育まれる口の力が発達しにくいこと,鼻炎やアレルギー疾患,ぜんそくなどの呼吸器系疾患の増加が口呼吸の子どもを増加させていること,さらに第5回でもお伝えしたように顎骨の成長の問題から鼻腔や咽頭気道が十分確保されず,そのために舌,口腔周囲筋そして咀嚼筋の発達が阻害されている場合もあります.このような口腔筋の発達不全は,歯ならびの問題,食習慣の問題,発音の問題として日常生活のなかで表面化してきます. これらの問題を早期に発見し,早期に改善するためには,診療室でわれわれが指導するだけでなく,子どもたちの身近にいる人びとが日常生活のなかで口腔機能の問題に気づく目をもつことが大切です.そして,「口の機能は当たり前に身につくもの」という間違った認識を変えていく必要があると思います.そのため,当院では来院したすべての小児とその保護者に対して口腔機能の正しい知識を身につけてもらうための指導を行っています. 今回は,その指導・トレーニング方法を,症例を交えて紹介します.はじめに*1医療法人社団百瀬歯科医院 歯列育成クリニック*2日本歯科大学生命歯学部小児歯科学講座*3日本大学松戸歯学部歯科矯正学講座代表連絡先:*1〒157‐0073 東京都世田谷区砧6‐25‐16島津貴咲*1,*2,林 亮助*1,*3,吉田範子*1保護者に何を伝えているか1 保護者に対しては,子どもたちの呼吸・嚥下・咀嚼・発音の良好な発達とはどのようなものかをまずお話しています.健やかな口腔機能とは,「良い呼吸」「良い飲み込み方」「良い噛み方」ができることです.安静時,口はリラックスした状態で閉じられ,鼻で呼吸します.そのときに舌尖はリラックスしたMovieスマホで動画が見られる!(使い方:P7参照)P158

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