ザ・クインテッセンス 2020年6月号
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“Why?”から“How to”を導く実践 歯内療法その治療選択のエビデンスとアプローチ連載168the Quintessence. Vol.39 No.6/2020—1458はじめに “根尖性歯周炎の予防と治癒”という目的を達成するためには,その病因となる微生物を除去し,根管内を封鎖することが必要であり,それによって再発予防へとつながっていく.根管治療は大きく分けて,①根管形成,②根管洗浄,③根管貼薬,④根管充填の4つに分類できる. そのなかで,根管形成+根管洗浄は“Chemo-mechanical Instrumentation(化学的,機械的根管形成)”と呼称される.これらは根管内の微生物を駆逐するという同じ目的を果たすための1つの手技であるともいえる. 第6回ではあえてそれらを分けて,根管形成に焦点を当てて論述していきたい.1.根管治療を行う前に知っておくこと1)無菌的処置の重要性 歯髄は本来,無菌状態であり,感染が起こることにより歯髄壊死から根尖性歯周炎に至る.根管治療において無菌的処置は基本中の基本であり,それを守らずして治療を行うことは“Standard of care(標準治療)”の提供を怠っているとみなされる(図1).器具の滅菌や適切な取り扱い,それに加えてラバーダム防湿を行い,治療中の感染も予防する必要がある. AAE(米国歯内療法学会)は根管治療においてラバーダム防湿を行うことは標準治療の一部であるとし,Cochranらはラバーダム防湿が治療中の感染源流入を防止する唯一の方法であると述べている1.また,Linらはラバーダムの使用により,根管治療歯の生存率が有意に向上したと報告した2.2)拡大治療の重要性 今日の歯内療法を語るにおいて,マイクロスコー米国勤務 Sigma Dental Specialists連絡先:220 S Denton Tap Rd Suite 102, Coppell, TX 75019*東京都勤務 川勝歯科医院連絡先:〒167‐0051 東京都杉並区荻窪5‐18‐17嘉村康彦/田中利典*第6回 非外科的歯内療法で再発予防を! ─根管形成編─

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