ザ・クインテッセンス 2020年7月号
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パーシャルデンチャーの補綴前処置歯が残る時代,押さえておきたい基礎知識!62the Quintessence. Vol.39 No.7/2020—1594特 集 1Pre-Prosthetic Treatment for Removable Partial Dentureキーワード:補綴前処置,欠損補綴,RPD*栃木県開業 橋本歯科医院*1栃木県開業 相田歯科医院*代表連絡先:〒327‐0844 栃木県佐野市富岡町186‐3橋本 等*/相田 久*1Hitoshi Hashimoto, Hisashi Aidaはじめに 中等度以上の欠損補綴症例において,強固でより確実な咬合支持をもつという機能面から,インプラントは局部床義歯(パーシャルデンチャー:以下,RPD)よりも多くのアドバンテージがある.このことは,広く臨床医に認知されており,その応用によって,臨床の現場では治療の選択肢が広がり,患者の生活の質の向上に大いに貢献している. しかしながら,より広い視点から臨床を眺めて見ると,高齢者,全身疾患患者,心理的にインプラントを否定する患者,経済的な制限のある患者などには,いまだにRPDが応用されており,実際の臨床数および臨床的な価値は,インプラントに勝るとも劣らない.筆者も過去に高齢者の欠損補綴に対する原則(図1)1を本誌上で述べ,義歯の有用性について言及した. 一般的にRPDの論文は,その設計に論点をおいたものが多い.これらは,力学的な対応による機能回復を中心に論じたもので2〜4,生物学的な配慮や,歯自体の構造および症例の経過観察から生み出される咬合の評価などの考察を行っているものは案外少なく感じる.もちろん「咬合三角」で示される残存歯数と咬合支持歯数および配置の診査と対応は,欠損補綴を行う際にもっとも重要な事項ではあるが5,これらは初診時に患者がもち合わせた口腔内の状況

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