ザ・クインテッセンス2020年8月号
3/9

?問題提起:本当に「臼歯部根管治療歯=クラウン修復」で良いのか?問題提起:本当に「臼歯部根管治療歯=クラウン修復」で良いのか?55the Quintessence. Vol.39 No.8/2020—18491.なぜ「臼歯部根管治療歯=クラウン修復」とされてきたのか?1-1)「他の修復法よりも成功率/生存率が高い」からクラウン修復!? 先述したように,現在の日本の学生教育および臨床の現場では,臼歯部根管治療歯にはクラウン修復を選択するように教育されるのが一般的である.しかし,歯科の教科書やその他の歯学書には「クラウン修復を推奨する」との記述にとどまり,明確な根拠は示されていない. 一方で,海外の学術論文では,以下の3論文が挙げられることが多いようである.①Sorensenらの報告概要:Sorensenら5は1984年,1,273本の根管治療歯の予後の後ろ向き研究を発表した.その結果,前歯への全部被覆は成功率に影響を与えない一方で,臼歯部では全部被覆を行うことで生存率が50%から図A 抜髄歯の残存歯質量は多く残っており,バリエーションも豊富である.これらを押し並べて,クラウンにして良いのか? より保存的な修復方法はないだろうか?

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る