ザ・クインテッセンス2020年10月号
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57the Quintessence. Vol.39 No.10/2020—2355口腔外科での診断・治療方針を優先すべきである. 病変の大きさによる根管治療の成功率の違いに関して,どの程度からを“大きい病変”とするかは歯科医師によって違いがあるとは思うが,文献的な線引きは「透過像の直径が5mm以上」としている論文が多い.2018年の報告1によると,初回治療の成功率が直径5mm未満で95.7%なのに対して,直径5mm以上では86.5%と有意な差があることが報告されている.また,再根管治療の成功率に関する2008年のシステマティックレビュー2では,5mm未満の成功率が67.3%なのに対して,5mm以上の成功率は41.7%と,25%程度の差があることが示されている.なお,この論文に採用された7論文中4論文では有意な差が認められたが,3論文では有意な差はなかったという. このため,根尖病変が上述の大きな根尖病変に分類される場合には,病変が大きいため治療成績が落ちることや,通常の根管治療で治癒が得られない場合があること,またそのときは外科的根管治療での対応を行うことを患者に十分説明しておく必要がある.筆者の選択はP.64(症例1)を参照抜歯?大きな根尖病変の治療,何を選択する?根管治療?外科的根管治療?

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