ザ・クインテッセンス2020年10月号
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子どもたちの  と    を育てる歯科医療口腔機能口腔機能歯列歯列チームで取り組む!150the Quintessence. Vol.39 No.10/2020—2448正常な成長発育の過程に導く咬合育成第回10 (最終回) 一般的に新生児期,乳児期,幼児期,学童期および思春期は小児期と称され,ヒトのライフサイクルのなかでも小児期はもっとも活発に成長発育を示す時期であり,歯科的にみても乳歯萌出から永久歯列完成までめまぐるしい発育変化を示します.小児期の歯科的問題は小児期のうちに改善することが大切であり,正常な成長発育を阻害する因子が生じた場合は,個々の成長発育に合わせた処置,あるいは予防が重要となり,再び正常な成長発育の過程に導くためのすべての行為を咬合誘導といいます.最近では,咬合誘導は「咬合育成」とよばれることもあります1.これまでの連載において報告してきた,子どもたちの口腔機能の発達支援や歯列不正の予防的介入は,すべて「咬合育成」であると筆者らは考えています. 正常な成長発育を阻害する因子のひとつに,乳歯の早期喪失があります.外傷や重度う蝕により早期に乳歯を喪失した場合,健全な顎口腔機能へと導くために保隙装置を用いることがあります.連載最終回となる今回は,乳歯列期や混合歯列期における咬合育成のひとつとして,一般開業医で用いられる頻度の高い保隙装置について解説します.また,同様に咬合育成のひとつである予防矯正を終えた後の永久歯列における対応について,本格矯正に移行した症例と,移行せずに管理している症例をご報告します.はじめに保隙装置の必要性と保護者への説明1 乳歯の大切な役割のひとつに,後継永久歯の萌出の場の確保があります.乳歯列期や混合歯列期に外傷や重度う蝕により早期に乳歯を喪失し,そのまま放置した場合,咀嚼機能が低下し,正常な「食べる機能」の発育に障害が出ます.さらには,隣在歯の傾斜や対合歯の挺出などを起こすことで,永久歯の*1医療法人社団百瀬歯科医院 歯列育成クリニック*2日本歯科大学生命歯学部小児歯科学講座*3日本大学松戸歯学部歯科矯正学講座代表連絡先:*1〒157‐0073 東京都世田谷区砧6‐25‐16島津貴咲*1,*2,林 亮助*1,*3

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