ザ・クインテッセンス2020年11月号
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新たなカリエスリスクアセスメント―その特徴と臨床応用の実際―日本発!ク     ラ     ス     プ 62the Quintessence. Vol.39 No.11/2020—2602New Caries Risk Assessment “CRASP”─The Concept and Practice Guidance─*千葉県開業 杉山歯科医院連絡先:〒276‐0027 千葉県八千代市村上団地1‐53*1熊本県開業 おひさま歯科クリニック連絡先:〒862‐0924 熊本県熊本市中央区帯山4‐3‐18杉山精一*/澤幡佳孝*1キーワード:CRA,CRASP,カリオスタット検査Seiichi Sugiyama, Yoshitaka Sawahata特 集 2 「サリバテストを行ってカリエスフリーを達成しよう!」…….今から22年前,日本ヘルスケア歯科学会(当時は日本ヘルスケア研究会)が設立された当時,このメッセージは日本の歯科界に新たな予防歯科時代の到来をもたらした.「う蝕治療とは何か」という歯科の根幹の問題を浮き彫りにし,カリエスリスクアセスメント(以下,CRA)という新たな治療プロセスを日本の歯科に普及させた. 残念ながら,CRAはいまだ日本の歯科医療保険制度に位置づけられていないが,多くの歯科医療者がさまざまな形でCRAを臨床に取り入れる努力をしているのは「修復型う蝕治療」から「歯質を保存するための新しいう蝕治療」に移行する必要性に気づいていることを示しているのではないだろうか? 日本ヘルスケア歯科学会では,CRAをテーマとしてシンポジウムでたびたび取り上げ,臨床の振り返りと新たなカリオロジーの考え方を学びながら,どのようなCRAが効果的に,そして成果を上げるカリエスマネジメントとなるかを検討してきた.その結果,2016年に「カリエスリスクアセスメントについての見解」を公開した(図1)1.さらに,この見解に基づいたCRAの開発に着手し,2019年3月にCar-ies Risk Assessment Share with Patients(以下,CRASP)を完成させた. このCRASPは,多くの歯科医院で受け入れられ,日々の臨床で使われるようになってきている.本稿では,その開発の理由と内容を紹介し,さらに臨床に導入した医院の事例を症例とともに紹介する.(杉山精一)◀◀◀ 企画趣旨 ▶▶▶

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