ザ・クインテッセンス2020年11月号
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84the Quintessence. Vol.39 No.11/2020—2624 近年のハードウェアおよびソフトウェアの目覚ましい進化を背景に,口腔内スキャナや歯科用コーンビームCT(CBCT)で得る三次元画像データを基とする「歯科×3Dプリント技術」は,補綴治療,矯正歯科治療やデンタルインプラント治療などのさまざまな領域に応用展開されるようになり,その裾野は拡大の一途を辿る.しかし,今日の「歯科×3Dプリント技術」の本流は,主に高い造形精度を誇る高価な産業用3Dプリンタや専門性の高い3D CADソフトウェアが担うところが大きく,2013年前後に始まった3Dプリンタブームにより普及をみる廉価なパーソナル3Dプリンタや汎用のソフトウェアの活用が進んでいるとはいい難い. これまで筆者らは廉価なパーソナル3Dプリンタと汎用のソフトウェアとを活用し“臨床に直結する”報告を数多く手掛け,またそれらの有用性の評価について多面的な検討を行ってきた1〜7.本稿では,一般歯科領域での3Dプリント技術の応用の裾野を拡げたいとの思いから,CBCT画像からのデータ設計〜造形までの一連の操作を自らの院内環境で完結する「チェアサイドでの歯・顎骨3Dモデル作製」をメインテーマとして,日常の歯科臨床にフォーカスを当てた3Dモデル造形について述べさせていただく.3Dモデル造形を専門とする“プロフェッショナルな3Dプリント企業・ラボ”(以下,プロ)への委託作製物として認識されがちな3Dモデルから,“院内3Dプリントラボの開設”によるパラダイムシフトの一助となることを期待する. なお,本稿のほぼすべての3DモデルはCBCT画像データを基に造形している.しかし,3Dモデル造形を主たるテーマとするため供覧する症例のCBCT画像とその解説は極力割愛したことについてFabrication and Utilization of a Clinically Oriented“Tooth and Jawbone 3D Model” with Desktop 3D Printerキーワード:FDM方式3Dプリンタ,3Dモデル, 口腔外科,外科的歯内療法*日本歯科大学歯科放射線学講座*1東京歯科大学歯内療法学講座*代表連絡先:〒102‐8159 東京都千代田区富士見1‐9‐20神尾 崇*/加藤広之*1Takashi Kamio, Hiroshi Kato特 集 3はじめにはじめに3D

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