ザ・クインテッセンス2020年12月号
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54the Quintessence. Vol.39 No.12/2020—2836はじめに 上顎牽引の歴史は古く,1875年のPotschniggの報告が最初とされている.一般的には,1944年にOppenheimが上顎の前方移動が可能であることに言及していることが周知されている.以来,Bac-cettiら1をはじめ多くの研究者がⅢ級不正咬合の治療として上顎牽引に関する調査報告を行っている. 上顎拡大の歴史はさらに古く,1860年にDental CosmosにAngellが発表したのが最初である.1912年にKetcham2は,抜歯によって歯列弓を狭めることは,鼻腔を狭め,口呼吸を助長することに言及し,Timms3は,20世紀はじめには,医科と歯科の両方で鼻気道閉塞の開放と歯の萌出スペースの確保の観点から,定常流として両科の共有する問題であり,拡大療法が議論の対象であった時代があったが,歯列矯正学と医科の薬物療法や外科手術の導入によって,それぞれの立場で扱うようになったと述べ,歯科で行っていた拡大療法による鼻気道の開放の利点Wonder if Paranasal Sinus can be Opened by Combi-nation of Maxillary Protraction and Expansion?東京都開業 吉祥寺こども診療室連絡先:〒180‐0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町4‐26‐26三谷 寧キーワード:上顎牽引,拡大,副鼻腔,RAMPAYasushi Mitani特 集 2RAMPAの特徴と可能性上顎牽引と拡大の併副鼻腔を開放できる上顎牽引と拡大の併副鼻腔を開放できる

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