ザ・クインテッセンス2020年12月号
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GPが行う補綴前処置としての矯正歯科治療やってみよう!72the Quintessence. Vol.39 No.12/2020—2854はじめに 一般歯科開業医(以下,GP)が一口腔単位での包括的な歯科治療を計画する際,そのなかに矯正歯科治療(以下,矯正治療)がオプションとしてあると,患者,術者の双方に大きなメリットをもたらす. たとえば,補綴前処置として矯正治療を計画すると,後の補綴をより行いやすい口腔内環境に変えることができたり,矯正治療を行わないとクラウンになる歯をレジン充填で済ませることができる. 日本では一般的にエンド,ペリオ,補綴など,包括的な治療のほとんどを1人のGPが担うが,矯正治療だけは例外で,矯正歯科医(以下,矯正医)に治療を依頼することが多い.しかし,専門性の違いや知識レベルの相違などから治療のゴールに対する共通認識が得られず,思い描いた治療結果が得られないことも少なくないのではないかと思われる. 筆者の臨床においては,矯正医に治療依頼をすることもあるが,GPである筆者自身が,矯正治療と補綴治療の双方のできること・できないことを理解し,両者の利点をうまく生かして自身で矯正治療を行ったほうが後の補綴治療を行いやすく,良好な結果が得られやすいと感じられることがある. そこで本稿では,補綴前処置としての矯正治療の有用性を理解していただくことを目的に,どのような視点で治療計画を立案し,治療を進めていくかについて述べてみたい.特 集 3Why don’t we Start Orthodontic Treatment by yourself as a Prosthodontic Pretreatment?キーワード:補綴治療,矯正治療,補綴前処置佐賀県開業 中島歯科医院連絡先:〒840‐0012 佐賀県佐賀市北川副町光法1485‐3中島圭治Keiji Nakajima講演者論文講演者論文

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