ザ・クインテッセンス2021年1月号
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180the Quintessence. Vol.40 No.1/2021—0180科学的根拠に基づいた下顎埋伏智歯抜歯載連新岩永 譲*/伊原木聰一郎*1剖・診断(難易度・リスク評価)」がもっとも多く138名(69.7%),続いて「患者説明に必要なエビデンス(術中・術後合併症や術式の安全性)」が37名(18.7%),「テクニック」が23名(11.6%)という結果となった(図2). アンケートにおいて統一した条件は「歯科医師であること」のみであったが,今回のアンケートからみえてきたことは,回答した歯科医師(GP,専門医などさまざまで,年齢層も幅広いが,詳細は割愛)の85%以上が自分自身で何らかの下顎埋伏智歯抜歯を行うということ,そして約90%がテクニックよりも解剖や診断,インフォームドコンセントに関する知識に興味があるという,非常に興味深い結果であった.というのも,下顎埋伏智歯抜歯の記事というと,どうしても抜歯テクニックに注目が行きがちだからである(もちろん,抜歯をするうえでテクニックが非常に重要なのは言うまでもない). 抜歯の経験が増え,抜歯に慣れてくると,多くの歯科医師は自分自身のスキルで抜歯できる(する 一般的に,歯科医師は下顎埋伏智歯抜歯において何を知りたいのだろうか? 筆者らは2020年6~8月にかけてソーシャルメディア(Facebook)のグループページ(嘉村田中岩永米国専門医.com)を利用し,歯科医師を対象としてアンケート調査(選択式)を行った.以下に質問内容と回答を示す.質問1「あなたの患者さんの下顎埋伏智歯抜歯が必要なとき,現在のあなたならどうしますか?」 この質問に対しては185名から回答があった.「やることもあるが,ケースによっては紹介する(大学などであれば熟練者にお願いする)」がもっとも多く133名(71.9%),続いて「すべて自分で抜歯する」が27名(14.6%),「すべて紹介する」が25名(13.5%)という結果となった(図1).質問2「下顎埋伏智歯抜歯について何がもっとも興味ありますか?」 この質問に対しては198名から回答があった.「解連載のはじめに*Department of Neurosurgery, Tulane University School of Medicine連絡先:131 S Robertson St, Suite 1300, New Orleans, LA 70112, USA*1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 腫瘍制御学講座口腔顎顔面外科学分野連絡先:〒700‐8558 岡山県岡山市北区鹿田町2‐5‐1下顎埋伏智歯抜歯にかかわる解剖と画像診断第1回

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