ザ・クインテッセンス2021年1月号
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新連載治療ステップ順で学ぶ睡眠歯科はじめよう!194the Quintessence. Vol.40 No.1/2021—0194いて示し,睡眠医療に対する歯科医師の役割に関するガイドラインを発表した.これが米国の歯科医師に与えたインパクトは大きく,多くの歯科医師が睡眠医療に携わる機会が到来し,その流れを受けて,日本においてもその重要性が再確認されつつある. そこで本連載では,これから睡眠歯科に取り組みたいと考えている歯科医師にむけて,その実際の臨床の流れに沿って実践的に解説していく.第1回となる本稿では,睡眠歯科の基礎知識としてその意義と,将来展望を述べてみたい.はじめに 私たち人間は,人生の時間の1/3を睡眠に費やし,心身の休息に限らず身体全体のメインテナンスをしているといわれている.しかし,睡眠関連呼吸障害の患者は質の高い睡眠を取ることができないことが原因となり,さまざまな合併症リスクや死亡リスクにさらされている. 米国歯科医師会は,特定の睡眠関連呼吸障害に対して口腔内装置が有効であることをエビデンスを用宮地 舞*1東京都勤務 DENTISTRY TOKYO SINCE 1925 MIYACHI SHIKA/カリフォルニア大学ロサンゼルス校歯学部病院顎顔面疼痛・睡眠歯科医学分野/東京医科歯科大学歯学部附属病院快眠歯科(いびき・無呼吸)外来連絡先:*1〒151‐0064 東京都渋谷区上原1‐17‐6睡眠障害の分類と閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の位置づけ第1回 睡眠歯科の意義とその将来性Ⅰ.不眠症Ⅱ.睡眠関連呼吸障害群  A.閉塞性睡眠時無呼吸障害群(OSA)  B.中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA)  C.睡眠関連低換気障害群  D.睡眠関連低酸素血障害Ⅲ.中枢性過眠症群(ナルコレプシー等)Ⅳ.概日リズム睡眠・覚醒障害群Ⅴ.睡眠時随伴症群Ⅵ.睡眠関連運動障害群(むずむず脚症候群等)Ⅶ.その他の睡眠障害歯科医院でのOAが適応OA例睡眠時無呼吸(SAS)はOSAとCSAの総称!図1 図内Ⅰ〜Ⅶに挙げる睡眠障害のうち,歯科医院での口腔内装置(Oral Appli-ance,以下OA)が適応になる閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は,睡眠関連呼吸障害群のなかに含まれる.睡眠障害患者のおよそ1/3は,睡眠呼吸障害の他に不眠症やむずむず脚症候群等の睡眠障害を併発しているという報告がある.心血管疾患や糖尿病等の合併症も多いため,この場合にも他診療科との連携が必要である.連載の企画趣旨:一般的に「睡眠歯科」は,睡眠時に生じる「閉塞性睡眠時無呼吸」と「睡眠時ブラキシズム」の歯科的治療がある.本連載は,その前者の治療について,実際の臨床の流れに沿って,OA製作を中心に解説していく.

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