ザ・クインテッセンス2021年2月号
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患者さんに喜ばれる,咬合育成としての拡大床治療~ホームドクターとしてかかわってきた長期症例から~58the Quintessence. Vol.40 No.2/2021—0316特 集 2The Removable Orthodontics for Child Oral Health and Development:From the Family Dentist's Cases with Long-Term Prognosisキーワード:歯列不正,咬合育成,拡大床治療,叢生予防神奈川県開業 須貝歯科医院連絡先:〒212‐0016 神奈川県川崎市幸区南幸町2‐8‐101須貝昭弘Akihiro Sugai臨床のなかで拡大床治療をどう捉えるのか 筆者は,ホームドクターとして多くの子どもたちの成長発育を観察してきて,歯列不正になる原因や過程などがわかるようになってきた.ささいなきっかっけで歯列不正になっていくものや,複雑な原因のものもあり,すべての歯列不正をホームドクターが予防できるわけではないこともわかってきた. 歯列不正のなかでもっとも多いのが叢生だが,咀嚼や嚥下などの基本的な口腔機能に影響がでないので,そのまま放置されることが多い.しかし,成人の患者と話をしていると叢生を気にしている人も多くいて,それが原因でう蝕や歯周疾患になることもあり,子どもたちの成長発育のなかでその予防ができるのであればやっていきたいと考えていた. 叢生予防のために導入した拡大床治療だったが,なかなか思ったような結果が得られず,確実な結果が出せるようになるまでには多くの年月を費やしてしまった.本特集では,どのようにすれば拡大床治療を確実なものにできるのかを考えてみたい.叢生の原因 叢生になる単純な原因は,歯の大きさとそれを受

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