ザ・クインテッセンス2021年3月号
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“うまくいく”を“たまたま”から“確実”にするために咬合挙上の今あるエビデンスと臨床手技教えます42the Quintessence. Vol.40 No.3/2021—0550Current Evidences and Available Treatment Options to Increase Occlusal Vertical Dimension Reliably and SafelyPart.1 Essential Information to Figure out How to Increase Occlusal Vertical Dimensionキーワード:咬合高径,咬合挙上,下顎安静位, 顆頭安定位,中心位東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科部分床義歯補綴学分野連絡先:〒113‐8510 東京都文京区湯島1‐5‐45和田淳一郎/若林則幸Junichiro Wada, Noriyuki Wakabayashiはじめに 補綴分野,とくに咬合再構成の際に議論されることが多い事項として咬合高径が挙げられる.その挙上の是非にはじまり,挙上をする場合の評価や検査,診断法,また実際の挙上法など,いずれも多くの研究者・臨床家が過去に俎上に挙げてきた.しかしながら,咬合をとりまく諸々の事項がそうであるように,咬合高径の諸事項に関しても確固たるエビデンスは求めづらく,統一された意見も少ないことから,画一的な臨床手技がないように思われる. そのため,現状では,これまでに報告された研究報告や臨床事例をふまえて,その都度,目の前の患者に適した個別対応を行うことが求められる.しかし,日本そして世界で語られてきた咬合高径の諸事項を公平に評価,整理されている論文は少ない. そこで,本連載では,咬合高径の評価,挙上法を,現在までの文献と臨床でひも解き,日常臨床で悩む臨床家読者へのヒントを提供したい.特 集 1咬合挙上を理解するための重要な知識の整理第1回

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