ザ・クインテッセンス2021年3月号
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連載治療ステップ順で学ぶ睡眠歯科はじめよう!224the Quintessence. Vol.40 No.3/2021—0732に関する知識を習得しておくことが重要である.その理由は,以下のとおりである.①睡眠治療には,呼吸器内科や耳鼻咽喉科等,さまざまな診療科(表1)の協力が不可欠である.そこで,その成功に向けて情報共有の土台となる医学概念や専門用語を理解しておく必要があるため.②OA治療の対象となる睡眠呼吸障害は,広範にわたる睡眠障害の1つである.そこで「眠れない」という漠然とした主訴を抱える患者のなかから,OSA患者を的確に抽出する必要があるため.③睡眠呼吸障害は,他の睡眠障害を併発することが多い.そこで,併発の可能性がある睡眠障害を見出し,多方面からのアプローチによって治療する必要があるため.はじめに 前回は,閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)のスクリーニング法と診断方法,治療の選択肢について解説するとともに,歯科で行うOA治療の一連の流れを概説した. 今回は,睡眠歯科治療を進めるうえで必要となる,睡眠と睡眠障害に関する知識ならびに睡眠歯科治療の対象となる睡眠呼吸障害に関する知識を解説していく.睡眠に関する知識が必要な理由 睡眠歯科治療をするうえで,歯科医師として睡眠第3回 睡眠と睡眠障害の定義について連載の企画趣旨:一般的に「睡眠歯科」は,睡眠時に生じる「閉塞性睡眠時無呼吸」と「睡眠時ブラキシズム」の歯科的治療がある.本連載は,その前者の治療について,実際の臨床の流れに沿って,OA製作を中心に解説していく.宮地 舞*1東京都勤務 DENTISTRY TOKYO SINCE 1925 MIYACHI SHIKA/カリフォルニア大学ロサンゼルス校歯学部病院顎顔面疼痛・睡眠歯科医学分野/東京医科歯科大学歯学部附属病院快眠歯科(いびき・無呼吸)外来連絡先:*1〒151‐0064 東京都渋谷区上原1‐17‐6表1 睡眠歯科治療に関与する可能性が高い医科および歯科の診療科名医科/歯科診療科名連携先で行われること呼吸器内科睡眠時無呼吸検査の実施,OSAの診断,CPAP,その他睡眠障害の治療耳鼻咽喉科睡眠時無呼吸検査の実施,OSAの診断,CPAP,鼻中隔矯正術,その他睡眠障害の治療循環器内科睡眠時無呼吸検査の実施,OSAの診断,狭心症・心筋梗塞などの合併症の治療精神科睡眠時無呼吸検査の実施,OSAの診断,CPAP,その他睡眠障害の治療神経内科睡眠時無呼吸検査の実施,OSAの診断,その他睡眠障害の治療消化器内科逆流性食道炎などの合併症の治療内分泌内科糖尿病・高尿酸血症などの合併症の治療泌尿器科夜間頻尿などの合併症の治療産婦人科妊娠高血圧・体重増加によるOSAなどの合併症の治療歯科矯正科上顎拡大術など歯科口腔外科上下顎骨前方移動術,口蓋咽頭形成術など

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