ザ・クインテッセンス2021年4月号
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65the Quintessence. Vol.40 No.4/2021—0835 なお,本稿で引用させていただいた,吉岡隆知先生(東京都開業)の書籍『写真とエビデンスで歯種別に学ぶ! 歯内療法に生かす根管解剖』(クインテッセンス出版,2019年)は,根管治療のみならず逆根管治療の視点からも根管を解析した良書であり,座右の書として推薦する3.1.情報不足による逆根管治療の失敗 治療が失敗するいちばんの原因は“情報不足”である.根管解剖についての情報は,前述した『写真とエビデンスで歯種別に学ぶ! 歯内療法に生かす根管解剖』をお読みいただくとして,術前には可能な限りCBCTによる診断をお勧めする. 再根管治療または逆根管治療のどちらかを選択するかは,術者の技量によるところも大きいが,実はCBCT画像を見た時点で,適応症はおおむね決まる.“再根管治療を行い,うまくいかなければ外科的に処置する”というのはもっともらしく聞こえるが,時間の無駄や補綴装置の除去による歯質の損傷,事故など,歯の寿命を縮めることになりかねない.逆根管治療を選択した場合は,次の原則を順守していただきたい.逆根管治療のゴールドスタンダードは次の①~③となる.①根尖を約3mm,なるべくベベルを付けずに切除する(ベベルは10°以下).②超音波レトロチップを使用し,根管内に約3mmの逆根管窩洞を形成する(イスムスの部分は半分の1.5mm).③MTAセメント(以下,MTA)またはEBAセメントを用いて,逆根管充填を行う. 前述の①~③は,すでに20年以上前から提唱されているが4,情報不足なのか,一般の歯科医師にはあまり理解されていない(図1).施術はマイクロスコープ下で行う必要があり,原則通りに行えば,逆なぜresurgeryが必要なのだろうか?図1a~c Resurgeryに至った症例.逆根管治療がまったくできていない.Resurgeryが必要となった症例を見てみると,原則を無視した治療が目立つ.cba1.情報不足による逆根管治療の失敗2.根尖を3mm切除する目的3.逆根管治療の前に再根管治療は必要だろうか?4.逆根管治療を難しくする要因(MB2,イスムスの存在)5.上下第一大臼歯近心根への逆根管治療6.MTAはパーフェクトな逆根管充填材なのか?本稿のLINEUP

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