ザ・クインテッセンス2021年4月号
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“うまくいく”を“たまたま”から“確実”にするために咬合挙上の今あるエビデンスと臨床手技教えます102the Quintessence. Vol.40 No.4/2021—0872Current Evidences and Available Treatment Options to Increase Occlusal Vertical Dimension Reliably and SafelyPart.2 Occlusal Vertical Dimension Increasing Based on Centric Relationキーワード:中心位,外側翼突筋,デプログラミング,tooth wear東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科部分床義歯補綴学分野連絡先:〒113‐8510 東京都文京区湯島1‐5‐45和田淳一郎/若林則幸Junichiro Wada, Noriyuki Wakabayashiはじめに 第1回では,咬合挙上に必要な周辺知識の整理と,本連載で紹介する3つの咬合挙上法の概要を述べた.第2回からは,それぞれの方法についての根拠と具体的な手順を解説していく. 本稿で取り上げるのは,“中心位を基準とした咬合挙上”である.“中心位”と聞くと“何だかよくわからない難しい話”と距離を感じる先生や,“机上の空論で臨床的ではない”と考える先生もいると想像する.どのような立ち位置から中心位を捉えるか次第で,いずれの意見も肯定できるだろう.筆者らも,中心位が万能という立場ではないものの,診療オプションの1つとして本法を理解し,実践できるスキルを身につける価値は十分にあるものと考える.1.中心位を基準として咬合挙上する意味 一般的に,咬合挙上には“咬合高径を変更したことによる悪影響(顎関節や筋肉の痛み,筋活動量の増加など)への漠然とした不安”がつきまとう1~4.これに対して,第1回で概説した3つの咬合挙上法(表1)のうち,エビデンスによってその安全性がもっとも説明されているといえるのが“下顎頭が中特 集 4中心位を基準とした咬合挙上法第2回

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