ザ・クインテッセンス2021年5月号
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根面被覆術その歴史,生物学的背景とVISTAテクニックon34the Quintessence. Vol.40 No.5/2021—1098特 集 1Update on Root Coverage Technique:From Historical Background and Biological Concept of Traditional Root Coverage Technique to the Inno-vative Approach, VISTAキーワード:根面被覆術,歯肉弁歯冠側移動術,トンネリングテクニック, VISTA(Vestibular Incision Subperiosteal Tunnel Access),gingival phenotype conversion therapyAssistant Professor, Department of Periodontics and Dental Hygiene, University of Texas Health Science Center at Houston連絡先:7500 Cambridge Street, Houston, USA 77024閔 成弘(Seiko Min)Seiko Minはじめに 近年,さまざまな軟組織移植術が論文等で紹介され,歯肉整形術の分野も日進月歩である.欧米の学会では,著名な臨床家がそれらの1つの術式を推奨し,他の術式と比べてその優位性を競うようなセッションが企画されることがある. しかしながら,歯肉整形術を含めた歯科治療全般において,万能な1つの治療法は存在しない.そのため,目の前の症例にもっとも効果がある治療法を選択する必要がある.そしてそのためには,それらの治療法に関連する論文を読み込み,その生物学的背景や利点と欠点,また長期的な臨床結果を理解する必要がある. そこで本稿ではまず,根面被覆術をテーマにその歴史を振り返り,さらにこの術式を行う根拠となる歯肉退縮の機序を生物学的視点から解説する.そのうえで,代表的な根面被覆術である歯肉弁歯冠側移動術とトンネリングテクニック,またユニークな治療コンセプトで近年臨床応用が進むVISTA(Vestibu-lar Incision Subperiosteal Tunnel Access)の術式を概説するとともに,VISTAにおいてはその臨床応用における近年のアップデート事項を盛り込んだ臨床例を提示していく.

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