ザ・クインテッセンス2021年5月号
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いまこそ知りたい!リライン材&ティッシュコンディショナー54the Quintessence. Vol.40 No.5/2021—1118Let's Understand Denture Liners and Tissue Conditioners!キーワード:軟質リライン材,ティッシュコンディショナー,有床義歯内面適合法長崎大学大学院医歯薬学総合研究科歯科補綴学分野連絡先:〒852‐8588 長崎県長崎市坂本1‐7‐1村田比呂司/岡﨑ひとみHiroshi Murata, Hitomi Okazaki 歯科医療従事者の尽力により,80歳で20本以上の歯を有する8020達成者が51.2%となり,初めて50%を超えたことが平成28年歯科疾患実態調査で明らかとなった1.しかしながら,たとえば85歳以上で片顎も含めて全部床義歯を装着している人の割合は46.3%(上顎:41.9%,下顎:30.9%)であるなど,依然,多くの高齢者が義歯を装着している(図1).さらに口腔内の状態や順応性の観点より,対応に苦慮する難症例が以前よりも増加している.今後,義歯装着者の高齢化により難症例は増加するものと予測される.このような症例に対し,日常臨床では高い頻度 従来の義歯装着者(図2a)に比べ,最近の義歯装着者は顎堤が高度に吸収し,可動粘膜が歯槽頂をでリラインが行われており,咀嚼機能と患者の満足度の向上に有効な術式である.しかしながら,リラインによる高い臨床的効果を得るためには,リライン材やリラインの前処置などに使用するティッシュコンディショナーについて熟知しておく必要がある. 本稿では,材料によって性質が異なる軟質材料を中心に,先生方にリラインを効果的に実施していただくのに必要なリラインの基本的な考え方,リライン材やティッシュコンディショナーの種類や特徴,効果的な使い方,患者指導などについて解説する.覆っている,そして口腔乾燥を有する,いわゆる「難症例」が増えているように感じる(図2b).この特 集 2はじめに1.いま,リライン材,ティッシュコンディショナーをどう考えるか

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